「経営はAIでラクして早く帰ってほしいのに、社員は帰らない」
ITmediaでこんな記事を見かけました。DeNAのような工数を最大9割削減した会社でさえ、AI活用が労働時間の短縮につながっていないという内容です。
正直、他人事とは思えませんでした。自分の働き方を振り返りながら、この記事を読んで感じたことをまとめます。
記事の内容をざっくり
要点はシンプルです。
- AIで作業時間は短くなる(平均16.7%短縮というデータもある)
- でも、その浮いた時間で業務時間全体が減った人はわずか25.4%
- しかも減らせた人でも、浮いた時間の61.2%は結局「別の仕事」に使っている
つまり「8時間で1件だった仕事が4時間で終わるようになった」としても、「じゃあ4時間で帰ろう」とはならず、「8時間で2件やろう」になるだけ、ということです。
ITmediaの記事で紹介されていたエピソードも印象的でした。効率化を提案した本人に説明や質問対応が集中して、結局忙しくなる。しかも給料は変わらない。「あるある」と思わず頷いてしまいました。
なぜこうなるのか:分母は変わらず、分子だけ増える
記事の中で紹介されていた指摘が的を射ていると思いました。
パーソル総合研究所の田村元樹氏いわく、「週40時間の労働枠が変わっていない」ことが根本原因だそうです。
既存の業務が減った分、AI導入支援などの新しいタスクが増える。結果として総業務量はむしろ増えてしまう。AIは「分母(労働時間)」を縮めてくれるけど、「分子(付加価値)」の方も一緒に増えてしまうので、労働生産性としては実質変わらない、という理屈です。
これを読んで「たしかに」と思いました。
自分の場合はどうか
職場では今年からCopilotが使えるようになりました。
使い始めてすぐに実感したのが、資料作成のスピードが別次元になったことです。自分の考えを壁打ちしながら整理して、その内容をCopilotに入力すればパワポやエクセルに落とし込んでくれる。今まで1日がかりだったレベルの資料が、2時間程度で仕上がるようになりました。
ところが、です。
効率が上がったことで、会社から求められる資料の量が増えました。期限の短いタスクも以前より明らかに多い。「2時間で作れるなら、もう1本頼める」という発想が、会社側にも無意識に生まれているのだと思います。
結果として、業務時間は以前とほぼ変わりません。これはまさにこの記事で言われている「分子が増えただけ」の状態でした。
まとめ
- AIは個々のタスクは確実に速くする
- でも「浮いた時間で早く帰る」にはなかなかならない
- 理由は「労働時間の枠」自体が変わらないから。空いた分は新しい仕事で埋まる
- 効率化の恩恵を「時間を返す」方に使うか「仕事を増やす」方に使うかは、結局のところ会社や個人の選択次第
AIで効率化しているはずなのに忙しさが変わらない、という方は多いのではないでしょうか。同じように感じている方の参考になれば嬉しいです。